車検のいろは


車検の知識をしっかり押さえて、自分に合った車検を選ぼう!

取り付け前に理解しておきたい保安基準、保安基準から外れた時の対処法などを解説しています。

いろは その38 オーバーフェンダーは車検に通らない?
オーバーフェンダーは車検に通らない?規制や構造変更申請についても詳しく解説!

「オーバーフェンダーを付けたいけど車検が心配」「車検の前にわざわざ外すのは面倒」などと考えていませんか。何をどうすればよいかわからず悩んでいる方もいるでしょう。結論から述べると、オーバーフェンダーを付けても車検に通すことはできます。ただし、保安基準を守らなければなりません。

この記事では、取り付け前に理解しておきたい保安基準、保安基準から外れた時の対処法などを解説しています。フェンダーカスタムを検討している方は参考にしてください。

オーバーフェンダーに関する基礎知識

オーバーフェンダーは、既存のフェンダーのうえから取り付ける後付けの部品です。フェンダー(fender)は泥除けを意味する英単語です。つまり、泥除けなどを目的とするタイヤ周辺の部品をフェンダーといいます。フェンダーは、前輪用のフロントフェンダーと後輪用のリアフェンダーにわかれます。オーバーフェンダーを取り付ける主な理由は次の通りです。

そもそも車にオーバーフェンダーをつける理由

オーバーフェンダーを取り付ける主な理由は太いタイヤを履くためです。道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第178条で次のように定められています。

自動車が直進姿勢をとった場合において、車軸中心を含む鉛直面と車軸中心を通りそれぞれ前方30°及び後方50°に交わる2平面によりはさまれる走行装置の回転部分(タイヤ、ホイール・ステップ、ホイール・キャップ等)が当該部分の直上の車体(フェンダ等)より車両の外側方向に突出していないもの。

出典:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示「車体枠及び車体」

つまり、タイヤやホイールが車両から突き出しているものは保安基準に適合しません。したがって、車両からはみ出るほど太いタイヤを履くときなどに、車両の幅を広げるオーバーフェンダーを後付けするのです。ちなみに、太いタイヤを履くメリットは接地面が大きくなることです。これによりカーブを曲がるときの安定性が増します。実際はこの点よりも、迫力ある見た目に憧れて履かせる方が多いようです。

オーバーフェンダーとブリスターフェンダーとの違い

オーバーフェンダーとよく似たフェンダーとしてブリスターフェンダーがあげられます。ブリスター(blister)は、気泡や航空機の機体から突き出た風防などを意味する英単語です。このことからわかる通り、ブリスターフェンダーもオーバーフェンダーと同じく外側へ張り出しています。

両者の大きな違いは「後付けかどうか」です。前述の通り、オーバーフェンダーは既存のフェンダーのうえから取り付けます。これに対し、ブリスターフェンダーはもともとのデザインとして外側へ張り出しています。つまり、後付けではありません。また、部品として見たときの形状も異なります。具体的な形状はさまざまですが、後付けするオーバーフェンダーは基本的に既存のフェンダーに沿った三日月形をしています。この形状から外れると、取り付けが難しくなるからです。ブリスターフェンダーは、最初なら車体に組み込まれています。

ちなみに、ブリスターフェンダーの定義は明確ではありません。基本的には、ノーマルボディと対比するときに用いられる名称です。したがって、ノーマルボディのフェンダーが外側へ張り出しているものはブリスターフェンダーに分類されないことがあります。

オーバーフェンダーの保安基準について

オーバーフェンダーを取り付けるときに注意したいのが道路運送車両の保安基準です。保安基準に適合していないと車検に通りません。取り付ける場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

基準①オーバーフェンダーを装着したときの全幅が一定範囲内であるか

オーバーフェンダーを後付けすると車体の全幅が変わります。この変化を一定範囲内に収めなければなりません。具体的には「車検証に記載されている車幅+20mm未満」に納めることを求められます(普通自動車・軽自動車・小型自動車・大型特殊自動車共通)。20mm未満に収まっている場合は、構造装置の軽微な変更とみなされるため構造変更の手続きは必要ありません。オーバーフェンダーの取り付け方法にも注意が必要です。両面テープなどで取り付けたものは車検に通らない恐れがあります。確実に固定されているとはいえないからです。取り付けはビスなどで行う必要があります。

基準②道路運送車両法が定める自動車の種別ごとの全幅を超えていないか

オーバーフェンダーを取り付けた状態の車幅にも気を付けなければなりません。全体の車幅が、道路運送車両法で定められている自動車種別ごとの範囲内に収まることを求められます。したがって、取り付け後における車幅の変化が20mm未満であっても、全体の車幅がこの範囲を超えると車検には通りません。自動車種別ごとに定められた車幅は次の通りです。

  • 【種別ごとの車幅】
  • 軽自動車:1.48m以下
  • 小型自動車:1.7m以下
  • 普通自動車:2.5m以下

例えば、オーバーフェンダーを取り付けた軽自動車の車幅が1.48mを超える場合、そのままの状態では車検に通りません。カスタム時は、変化の幅とカスタム後の全幅をチェックしく必要があります。

オーバーフェンダーの構造変更申請について

上記「基準➀」「基準②」のいずれかに該当する場合、構造変更検査を受けなければなりません。申請方法と注意点は次の通りです。

構造変更の申請方法

小型自動車・普通自動車は管轄の陸運支局など、軽自動車は管轄の軽自動車検査協会で手続きを行います。必要な書類は次の通りです。

  • 【小型自動車・普通自動車】
  • 申請書
  • 自動車検査証
  • 自動車検査票
  • 自賠責保険証
  • 点検整備記録簿
  • 使用者の委任状
  • 所有者の委任状(型式・車体番号などを変更する場合)
  • 手数料納付書
  • 自動車重量税納付書
  • 納税証明書

構造等変更検査にかかる手数料は、小型自動車が2,500円、普通自動車が2,600円です(自動車診査証紙+検査登録印紙代)。

  • 【軽自動車】
  • 申請審査書
  • 自動車検査証
  • 軽自動車検査票
  • 自賠責保険証
  • 点検整備記録簿
  • 申請審査書
  • 自動車重量税納付書
  • 自動車検査証記入申請書

構造等変更検査にかかる手数料は2,300円(検査手数料+技術情報管理手数料)です。

構造変更をするときの注意点

構造変更申請にともない、新たな車検期間がスタートします。具体的には、構造変更申請から2年間が新たな有効期間になります。現在の有効期間+2年間とはなりません。構造変更申請を行うと、現在の有効期間を無駄にしてしまう恐れがあります。新たな車検期間のスタートに伴い、有効期間分の自動車重量税も納めなければなりません。すでに納めている自動車重量税は返還されないため税負担は重くなります。これらが気になる場合は、車検の有効期限にあわせて構造変更申請を行うとよいでしょう。

また、自動車の全幅を拡張したことで自動車の種別が変わると、自動車税・自動車重量税の税額も変わります。税負担が重くなるため、構造変更申請を行うときは全幅や税額にも注意が必要です。

車の構造を変えた場合の車検について知りたい方は”車の構造変更による車検の流れについて”をご覧ください。

まとめ

オーバーフェンダーは、フェンダーのうえから後付けする部品です。車両からはみ出すような太いタイヤを履くときに取り付けます。保安基準を守れば、オーバーフェンダーを取り付けた自動車も車検に通ります。保安基準に適合しない場合は構造変更申請が必要です。構造変更申請を行うときは、車検期間などに気を付けましょう。

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